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帽子の修理 ,

帽子のつば(ブリム)を硬くする

お客様に“帽子のつばを硬くしてほしい”とのご依頼を受けました。
さっそくやってみようと思います。

写真をクリックしていただければ大きくなります。

ご依頼の帽子はこんなかんじのキャップでした。
IMG_2110.jpg
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ジョギングの時に被っているそうですが、たしかにこれじゃ不便かもしれません。
つばをか固くする一番簡単な方法はつば全体にステッチをいれることです。
つばの端から7ミリ~1センチの等間隔でステッチを入れるだけで、つばがしっかりします。

でもこの帽子の場合はそれでは間に合いそうもないので
、手術(?)をすることにしました。

まず、サイズリボンをはずしていきます。
IMG_2114.jpg

サイズリボンとは、帽子の内側にぐるっとついているテープのことです。

次に、つばとクラウン(頭の部分)をはずしていきます。

はずす糸がわからないときは、表から見て、
つばとクラウンを上下にひっぱってみましょう。
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ふたつの部分にわかれました。
IMG_2118.jpg

このとき、つばとクラウンの真ん中の印を確認してください。
消えかかっていたら自分でわかるように
印をつけたり軽く切り込みをいれたりしてください。
全く確認できなかったら、自分でなんとか真ん中を見つけてくださいね。

あと、つばは、裏表がわからなくなる事故が多発(私だけ!?)します。
かぶって上になる方を外ブリム、下を内ブリムといいます。
どっちがどっちだったか、かならず自分でわかるようにしといてください。

理由は・・・
つばは本来左右対称のはずなのですが、よれたりしてそうでなくなっている場合が多いからです。

さて、ブリムを硬くしていきます。

まず型紙をつくりましょう。
紙の上に外ブリムを上にして置き、動かないようにセロテープなどでとめ、
形をなぞります。
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型紙ができました。
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ここでは簡単に手に入る、アイロンでつける接着芯を使った方法をご紹介します。
今回超ハードな芯があったので内ブリムだけにつけていますが、
1枚では硬さに不安がある、というときは内外ブリム両方につけてもいいです。

ただ、両方に硬い芯をつけると手でブリムをつまんだときの感触が変わってきたり、
縫いにくくなったりしますので、注意しましょう。
両方つけるときは、2枚目は1枚目をひっくりかえした型紙を作ります。
型紙を接着芯に置いて(のりのついていない方)待ち針でとめ、そのとおりになぞり、切り取ります。
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接着芯はいろいろな種類がありますが、どのくらい硬くしたいかを考えて選んでくださいね。
黒か白が主流です。表にひびかないように注意しましょう。

次に、ブリムの開腹手術です。
なるべくはずすところが少ないやり方です。
外ブリムと内ブリムをぬいあわせている部分の糸を
はずしていきましょう。
IMG_2121.jpg

はずしたら、こうなります。
この袋になっているのを裏表ひっくりかえしてください。
これは端っこにワイヤーがはいっていました。
IMG_2122.jpg

そして内ブリムに接着芯をセットします。
端っこのぬいしろより気持ち内側にセットして待ち針でとめます。
ぴったりにならなくても
あまり気にしなくて大丈夫です。
そしてアイロンでプレスしてください。
IMG_2124.jpg

アイロンの熱が取れたら(接着が固定したら)
ひっくりかえして元通りにします。

これはブリムに少しステッチ(ブリムを硬くしたり、デザイン的な要素もあるかざりステッチ)
が入っていたのでそのとおりにやってみます。

なるべく内外のステッチがずれないように待ち針を打って、
ステッチをかけていきます。

IMG_2126.jpg

糸の色は、迷うようでしたら、生地より若干濃い目の色をえらんだほうがいいようです。
ステッチがすんだら、袋の口側(さっきはずしたところ)
をぬって、袋の口をとじます。

待ち針のあとはやかんの蒸気をあてるか、スチームアイロンできれいになります。
霧吹き&ドライアイロンでもOKです。
手で軽くなじませてください。

さて、ブリムとクラウンのドッキングにかかります。
クラウンの直線とブリムの曲線を縫いあわせるので
難しいですががんばりましょう。

まず、待ち針でセッティングします。
真ん中から合わせていきます。
IMG_2129.jpg
そして縫います。
IMG_2130.jpg
縫えました。

あとはサイズリボンです。
サイズリボンの端がさきほどぬった縫い線と重なるくらいにセッティングします。

IMG_2131.jpg

このときのセッティングのしかたで仕上がりが変わってきます。
この帽子の場合、次の次の写真のようなデザインだったので
そのとおりにやってみます。

ブリム部分は、表地はよけてブリムとクラウンのぬいしろ部分だけにセットし、
ブリムのない部分は、クラウンのぬいしろに表地まで一緒にセットしました。

そして、2段階に分けて縫いました。

まずブリム部分が終わりました。
ほつれ防止にしっかり返しミシンしてくださいね。
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そして、ブリムのついていない部分を縫います。
こちらも返しミシンをお忘れなく。

表からみると、こんなかんじになります。
ブリム部分(左側)には縫い線がなく、ブリムのついてない部分にはあります。
IMG_2133.jpg

元のとおりにしなくていいのだったら2段階に分けたりせず、
全部ぬいしろだけにセットしてぐるっと縫えば、
表から縫い目が見えないデザインになります。

サイズリボンを縫い付けるときの下糸の縫い目が
表から見えるか見えないかで帽子のイメージが変わってくるので注意してくださいね。

出来上がりました。
できあがり
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Category : 帽子の修理
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帽子プロデューサー みすみ

★京都の帽子屋さん*帽子屋ポピンズ 帽子プロデューサー。
★自身が、帽子が苦手だった経歴をもつ。
★1000人以上の女性からヒアリングしてわかった、”多くの人に似合う帽子”をプロデュース。
★帽子の形・色・素材・それにかざりの効用で似合う帽子を選ぶやり方をレクチャー。帽子の楽しさをお伝えしています。
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コメント

  1. 宮本 より:

    こんにちは!
    こちらの記事に掲載している帽子と同じようにツバが大きくへたってしまう帽子があるのですが、こちら縫製サービスはしていただけますか?

    • みすみ より:

      こんにちは。
      縫製サービスとは修理ということでしょうか?
      こちらの記事と同じような帽子でしたらやれますよ。
      よろしければお問い合わせフォームよりコンタクトしていただけますか?

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