帽子を作る道具たち

帽子を作る道具たち

帽子は大まかに布の帽子とそれ以外の帽子に分けられます。
布の帽子はやわらかく畳めるのが特長で 大体洋服とおなじように型紙を作図して作ります。
それ以外の帽子とは、帽体を木型やチップに型入れしたり、ブレードという、ひも状のものをぐるぐるまきにして縫って作ります。
型入れの帽子を作るときの道具たちを中心に紹介します。

帽体(ぼうたい)

すでになんとなく帽子のような形をしたもので、これを木型やチップにいれて形作ります。
帽体の形にはベル型とキャぺリン型があり、どのような形の帽子を作りたいかで使い分けます。
素材では大まかに夏帽体と冬帽体があります。
夏帽体は麻やラフィアなど天然素材のものが多いです。冬帽体はフェルトがあります。

これは夏用の、シゾールという麻が素材で、2つともキャぺリン型です。
キャぺリン型は、ブリムが大きい帽子をつくるときに使います。
写真ではわかりにくいですが、この2つは編み方がちがっています。
左はアジロ編みといってすこしつやがあるので高級感があり、右は石目編みといってつやのない素朴なかんじです。
どんな帽子を作りたいかによって使い分けています。
色は染めてあるのが売っていますが、さらにその上から染めて複雑な色をだすこともあります。

これは冬用のウールフェルトで、ベル型の帽体です。
ベル型はクロッシェや中折れ帽などクラウン部分にボリュームのある帽子を作るときに使います。

ブレード

 

素材をひも状にしたものです。これをぐるぐるまきにして、縄文式土器のように?帽子をつくっていきます。
これは夏用素材です。いろんな太さのものがあります。
右の2つは素材が麻ですが、さらに自分でそめたりもします。
あたたかそうな冬用素材もあります。
ブレードの帽子

木型

帽体をこれにかぶせて型入れします。

これはクラウンの木型です。
前後ろがあって、左側が顔に当たる前部分です。
上が“丸クラウン”といって、頭の形そのもののような基本の形です。
形もサイズもいろいろあります。
 

これはブリムの木型です。 これも左側が前です。
前と後ろで傾斜がちょっとちがうの、わかりますか?
傾斜によって、名前がついています。それぞれサイズもあります。
左は急下がり、右はセーラーブリムといいます。 スタンドの上に乗せています。
木型

チップ

木型をつかってバクラムで形を作ったもので、これも型入れに使います。
木型と同じように画鋲や待ち針がさせます。
中は空洞なので軽いのと、端の始末が楽にできるのがうれしいところです。
 
 
こちらはクラウンのチップです。左側はシルクハットの形です。
 

これはブリムのチップです。
左側はおわんをふせたような形で、映画“カサブランカ”でイングリッド・バーグマンが こんな帽子をかぶっていることから この形のブリムの帽子は“カサブランカ”とよばれているようです。
右側はくるんとそりかえっているセーラー型です。
チップには裏表があり、表に帽体を沿わせていくのですが 左と右と表裏がちがうの、わかりますか?
大体のチップは左のパターンなのですが、 右みたいに反り返っているデザインは、
ブリムがくるんとなった帽子を作るときに使い、裏表反対に型入れします。
見えている方が裏、ということです。
 
 
左はベレーのチップ、右はクラウンブリム一体型のチップです。
ベレーの方にはラップのようなものがかぶせてありますが、
チップを作って間もないと 型入れしたときに白い色が帽体につくことがあるので、このようにします。
黒い線は、細いビニールテープのようなもので、 パーツを分けて型紙を作ったりするときに使う便利グッズです。
 
 

バクラム

 

木をほそく切ってたてよこに粗く組んだようなものです。チップの材料ですが、これを帽子の芯にしたりもします。
バクラムには寒冷紗がはってあり、これを部分的にはがしたりすることもあります。
寒冷紗が貼ってある方を表として使います。
上の写真で重しがわりにつかっているのは、スタンドといって、ブリムやクラウンの木型をのせて作業するものです。
作業場所が自分の目線の高さになるよう、スタンドを2コ3コ重ねることもあります。
 
 

ペーパーバクラム

 

紙でできたバクラムです。
ふつうのバクラムとおなじようにこれでチップを作ったりもしますが、複雑な形を作るのは得意じゃないみたいです。
 
 

シナマイ

 

麻を粗く織ったものです。 もう少し目の粗いものはよくコサージュを作るのに使われています。
帽子の芯にしたり、このまま木型やチップに型入れした帽子もあります。 染めることもできます。
軽くて蒸れないので夏に人気の素材です。
 
シナマイの帽子
 
 

寒冷紗

 

園芸用品のほうが有名なのですが、同じ名前で手芸品店でも売っています。
でも見た目も目的も全然違います。
のりのはいった粗い織りの綿で、バイアスののびがいいので、立体裁断をするとき木型やチップに沿わせて型紙を作るのに使ったり、仮縫いにも使います。
また、バイアスでとった幅4センチのテープを二つ折りにしたものは 寒冷紗テープといって、型入れのときに帽体をおさえるのに大活躍です。
 
 

キルト芯

 

ふわふわのシートで、主に冬の布の帽子を作るとき布と布の間にいれこんで使います。
手芸品店でも買えます。
 
 

プラスチック芯

 

主にキャップやハンチング、キャスケットなどの前ブリムの芯に使います。
いろんな厚さ硬さがあります。
前ブリムの芯はできあがりイメージにより、このプラスチック芯をつかったり ペーパーバクラムと接着芯をくみあわせたり、いろいろな素材を使います。
 
 

ビニールワイヤーなど

 

ブリムのエッジにいれこんで形を保つのに使います。
前にある小さいのはワイヤー管(かん)といって、ジョイントの役目をします。
左のは糸巻きワイヤーといって、チップを作るときエッジなどを補強するのに使います。
 
 

ワイヤー

 

ブリムのエッジにいれて、好きな形にするためのものです。
左のがアルミ製です。
右は、このごろ手芸品店でテクノロート、という名前で 売られてもいる、繊維でできたものです。
手前のはジョイント部品です。
 
 

サイズリボン

 

 
サイズテープ、スベリ、ともいいます。
サイズを固定したり、汗や汚れが帽子に直接つくのをふせぐ役目があります。
いろんな種類があります。
右上から時計回りに(かたまりごとに) ストレッチ素材、メッシュ、シルリード、芯いりです。
シルリードの3センチ幅のは、手芸品店にも売っています。
なくても、普通のグログランリボンでも代用できます。これも売っています。
しっかりした帽子では革を使うこともあります。
 
 

まんじゅうと、パッチワーク用アイロン

 

まんじゅうは丸いものにアイロンをかけるときのアイロン台のようなものです。
布の帽子の仕上げに使います。 こまかいところは、ぶ厚い料理用ミトンも使います。
この小さいアイロンは、主に布の帽子のぬいしろを割ったりするのに使います。
それ以外には、型入れの帽子を型に入れたままアイロンがけするのにも使います。
こんな小さなアイロンですが、帽子は曲面なのでアイロンのあたっている場所はほんのちょっと。
面が丸いアイロンか(できればカーブを変えられたらもっといい♪)、
平面ならばもっと小さいちびちびアイロンがほしいです。
 
 

割り台

 

縫い代を割ってアイロンをかけるときに使います。
 
 

レコード

 

ブリムのエッジを輪にするときにつかいます。
この円周の丸いラインを使って芯や布をのばしていきます。
 
 

なにかとよく使うものたち

 

全然特殊なものではないんですが・・・
この定規、よく曲がるし、はしっこからいきなりメモリが始まってるし、 中にも方眼メモリがついています。
帽子は型紙にバイアスの線をかいたりするのでとても使いやすいです。
帽子作りの場合、待ち針を木型やチップに刺したりもします。
だから短めで頭が球になっているものがいいのです。
針山は小学校の裁縫セットに入っていたものです。
あとはさみですが、バクラムや寒冷紗などは布用裁ちばさみだと刃こぼれするので こんな工作用はさみがあるといいです。
 
 

そして私の分身

 

シャポースタンといいます。
頭のいろんなところを測って作った、私の分身です。
バクラムに麻布をはったもので、中は空洞です。
待ち針がさせます。
帽子をのせて作業したり、できあがった帽子をみるのに使います。


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