手作りの帽子がかぶりやすいわけ 後編
さて、先日ベレーのオーダーがありました。
前お作りしたものの色違いを作ってくださいとのことでした。
以前のは黒だったのですが今度は紺をご所望でした。
そのときなんか引っ掛かりがあったんですよ。
それはだいぶ前に買ってもらった帽子で、そのときシリーズで何色か作っていたんですが
同じ生地でも色によって厚みが違ってたよな。。紺はどうだったっけ?
紺はわけありだったような気がする。
という引っ掛かりがひとつ。
それから、
前編の 型紙段階でのベレーのサイズの入れ子具合が激しい 件です。
前のベレーのサイズは60センチで今度も同じなのですが、
どういう入れ子具合にしたのかわからなくなっていました。
60センチのベレーを作る場合にあり得るクラウンの型紙が3種類くらいはありました。
帽子を作るときに記録は取っているのですが
いろいろパターンを変えて作っていた時期もあり
どの帽子がどのお客様にわたっていったかまではわかりません。
いったんは作ってお客様にお送りしましたが、結果、前のとあまりにも違っていて、作り直すことになりました。
出来上がった帽子はこんなにも違っていた
このとき、お客様が前のベレーもいっしょに送ってくださったのが本当にありがたく、役に立ちました。
日常使いしている帽子は伸びていることが多く、正確な数字がでるのか心配でしたが
いろんなところを測ってみて これだろう、という型紙を割り出しました。
生地は同じシリーズの紺なのに張り(硬さ)が全然ちがっていたので、シリーズにはこだわらず、似たような触感のちがう生地を購入しました。
結果はこちら。左が作り直した方です。
サイズ(60cm)は同じでもこんなに違うんです。
帽子でなく、それを使う人のことを考える
そして、いろんなところを観察しました。
まず注目したのはバンド部分です。
実はこのバンド部分というのは年によって仕様を変えていたんです。
市販のベレーはこのバンド部分に硬めの芯が入っていてそれがとても本格的な印象を醸し出しています。
それに近づけるべくいろんな素材をあてがって、毎年のように仕様を変えていたのです。
でもその、お客様が愛用してくれて毎日のようにかぶっているというベレーは
このバンド部分がやわらかく、なにも特別なものを使っていないものでした。
この経験はとても大きかったです。
これでいいんだ。
というより、
これがいいんだ!
洗濯もしているはずなのにそれに耐えて、ちゃんと何年も役目を果たしている姿も
確認することができて、本当にラッキーでした。
立派な見た目にする必要はなく、使いやすい帽子を作っていこうと思った体験でした。
手作りの帽子がかぶりやすいわけ 完
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★京都の帽子屋さん*帽子屋ポピンズ 帽子プロデューサー。
★自身が、帽子が苦手だった経歴をもつ。
★1000人以上の女性からヒアリングしてわかった、”多くの人に似合う帽子”をプロデュース。
★帽子の形・色・素材・それにかざりの効用で似合う帽子を選ぶやり方をレクチャー。帽子の楽しさをお伝えしています。
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